親を一人にするのは、悪いこと?

近年、警備会社などが、離れて暮らす家族の見守りサービスを提供しています。部屋にセンサーを設置したりカメラを置いたりして、遠くからでも一人暮らしの親の様子を見守ることができるようになりました。

親自身が「そうね。つけてくれると安心だわ」と同意しているのなら、つけてもいいと思います。

でも、心配だからと子どもが一方的に見守りサービスをつけるのは、いかがなものかと私は思います。もし、自分が24時間カメラで監視されていたら、どう感じるでしょうか。

1度、家にウェブカメラを設置して体験してみてください。それでどういう気持ちになるのか。自分の生活を人に24時間見張られている、管理されている。しかも、自分の子どもに──です。

こんなにつらいことはないですし、大きなストレスになるはずです。そして、親にそんな思いをさせてまで自分が安心できるかというと、そんなことはありません。

むしろ不安が強くなると思います。なぜなら、「あっ、転ぶ!」という瞬間が、カメラで見えてしまいますから。

しかも、それがわかっても、さっと手を差し伸べて抱き起こせない。見ているしかないんです。こんな怖いことはありません。

警備会社の人が駆けつけてくれるかもしれませんが、それまでジリジリと待つその時間も耐え難いものでしょう。

※本稿は『親の介護の「やってはいけない」』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

 


親の介護の「やってはいけない」』(著:川内潤/青春出版社)

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