理由を正直に打ち明けて
高度経済成長期を経験した世代にとって、物やお金を贈るのは愛情の証し、バロメーターのように思うのかもしれません。ただそんな時代はとっくに終わり、今や物価も軒並み上昇、年金生活者にとっては自分の暮らしを守ることで精いっぱいというのが正直なところでしょう。これまでしてきたからといって、同じような援助を孫たちに続けるのが厳しい事情はよくわかります。
ただし、今まで援助してきたのに、「もう援助はしない」と一言で打ち切るのは一方的な気がします。それでは子どもが親の事情を理解できず、これまでと態度を変えても仕方ありません。「以前より物価も高くなっているし、生活するのに精いっぱい。老後に迷惑をかけないためにも、今までと同じことをする余裕がないのよ。ごめんなさい」と、正直に打ち明ける必要があるでしょう。
そんな丁寧に説明する必要があるの? 子どもや孫は、援助してもらって当然だと思っているの? それは都合がよすぎる! と憤る方がいるかもしれません。しかしもとはと言えば、そういう習慣をつけたのは親。安易に物やお金を与えてきた自分の行動を反省するしかありません。
少子化の時代、一人の子どもにかけるお金も増えているようです。最近はランドセルひとつとっても高額で、なかには自分の食費を削ってでも孫が希望する高いランドセルを買ってやりたいと思う方もいると聞きます。人というのは誰かに頼られたり、慕われたりするのが生きがいになるもの。孫から「おばあちゃん、これが欲しい」とねだられるのも生きがいのひとつなのでしょう。なんとしても買ってやりたいと、自分が納得して食費を削るならそれもいいのかもしれません。けれど、無理して買ってあげたランドセルを最初は喜んでも、卒業まで孫が同じ気持ちで使い続けるでしょうか。1年も経たないうちに乱暴に扱われるかもしれませんし、不登校になって使わなくなる可能性だってある。それでも買ってよかったと思えるのならばいいのですが。