2020年、即位の礼の前に装束着装の習礼を見学に来られた崇仁親王妃百合子殿下とご一緒に(写真提供:三笠宮家)

三笠宮家の歴史を妃殿下からうかがって

そういった活動はお父様である寛仁親王殿下の影響でしょうか。

――父は、「皇族というのは、国民のなかに自ら入り、国民が求めることをするのが仕事だ」とつねづねおっしゃっていました。父にとってそれは、社会福祉やスポーツ振興、青少年の育成でした。

父から引き継がせていただいたお役目も大切にしながら、私は日本文化を後の世まで伝えるという活動を、研究、執筆、心游舎の運営を通して続けていく。そうして父の教えを引き継いでいるつもりでおります。

 

寛仁親王殿下が、留学記がベストセラーになったことをお知りになったら、さぞお喜びでしたでしょう。

――どうでしょう。きっとすごく悔しがられたのではないでしょうか(笑)。連載の1回目を読んでいただいた時も、「25歳で留学記を出した俺にようやく並んだな」などとおっしゃって。

ですから今回も絶対素直に褒めてはくださらず、「まあ、たまたまだろう」くらいのご感想ではないかと思います。

研究の道に進んだことは、祖父である三笠宮殿下の存在が大きかったと感じています。殿下は古代オリエント史がご専門の歴史学者です。幼い頃、わからないことをうかがうと、何冊もの百科事典や辞書からコピーを取って渡してくださった。

本によって記載内容が違うと知ることで、さまざまな資料にあたる大切さ、何かを鵜呑みにせず自分なりに答えを探す道筋について教えてくださっていたのだと思います。