小さい頃、絵の描き方は独学で身につけたという柴崎春通さん。息子さんの勧めで始めたユーチューブも、撮影から編集まですべてひとりでこなしました。日本だけでなく海外でも大人気となったチャンネルへの投稿に加え、毎年欠かさず個展を開くなど、77歳にして精力的な日々を送っています(構成:山田真理 撮影:大河内禎)
「透明水彩」の魅力に取りつかれて
チャンネル名:Watercolor by Shibasaki
はい、こんにちは。柴崎のアトリエへようこそ。ここから世界に向けて発信する動画はまもなく1000本に。チャンネル登録者数も国内外合わせて185万人を超えました。
子どもの頃から、絵を描いたり、ものを作ることが大好きでした。小学校3年生の時だったかな、学校の催しで『路傍の石』という映画を観たんです。主人公のという貧しい少年を、担任の先生が「お前の名前は、『はこの世に一人しかいない』という意味だ」と励ますシーンに、感銘を受けました。
そうか、自分というものは世界で一人だけの存在なんだと。その後しばらくはアルバムに自分の写真を貼るたび、横に「吾は一人」と書くほど影響を受けた言葉です。
自分は自分。やりたいと思ったことを、試行錯誤しながら進めていく。それが僕の人生のテーマかもしれません。中学生の時に油彩画セットを買ってもらいましたが、周りに使い方がわかる人がおらず、独学で風景画を描き始めて。
高校では休部状態だった美術部に人を集め、手分けして情報を仕入れては、描き方を研究する3年間でした。
大学卒業後は普通に就職する気になれず、教授から紹介された絵画の通信講座で講師を務めることに。本国のアメリカから送られてくる資料で勉強できるので、夢のような職場でしたね。