人生でやり残したことは、子どもと向き合うこと
人生でやり残したこととして、子どもと向き合ってこなかったことを挙げる人にも出会います。70歳で保育士免許を取得したYさんも、そんなひとりです。
飲食業界、専門学校の責任者を経て、43歳のとき学生時代から馴染みのあった合気道の道で起業。30年近く、氣圧療法での治療と合気道の指導を続けてきましたが、コロナ禍で別の仕事をすることを考えるようになります。
そんなとき、たまたま定年退職後に保育士となった人のドキュメンタリー番組を見る機会があり、「自分が人生でやり残したことはこれかもしれない」という思いがわいてきたのです。
独身で子育ての経験がなく、合気道で子どもを教える機会があったものの納得のいく形で子どもたちの成長の助けができなかったという思いも持っていました。当時69歳でしたが、保育士試験には年齢制限は設けられていなかったことにも勇気づけられたといいます。
心の声に従って勉強を開始。無事に保育士免許を取得して就職活動を行いましたが、70歳という年齢がネックになり、採用には至りませんでした。
そこでもう少し専門的な資格を持てば道が開けるかもしれないと考え、興味を持ったモンテッソーリ教育を学ぶ決意をします。イタリア初の女性医師であったマリア・モンテッソーリが、子どもの発達を援助するために実践した教育で、表面的に見えているものではない、本来の姿を追求するところに合気道との共通点も感じたそうです。