250を超える作品を生み出し、90歳になった今も児童文学作家として活躍する角野栄子さん。いつも明るい笑顔でハッピーオーラ満開の秘密を聞きました(構成:篠藤ゆり 撮影:村山玄子)
足の爪がうまく切れなくて
今年1月1日に90歳の誕生日を迎えました。ふと頭に浮かんだのは、「私、やっぱり年寄りになったのかしら?」ということ。これまで年齢を意識したことなんて、まったくなかったのに。(笑)
元日ですから、「これからどう生きようかな」と、ちょっとかしこまって考えてみました。「そろそろ家にこもって、静かに創作の日々を送りたい」などと思ったけれど、こんなふうにお仕事の依頼がくると、「なんかおもしろそう」って、つい引き受けてしまうの(笑)。
今年は、『魔女の宅急便』の1巻が出版されてちょうど40年になる節目の年。だから、やっぱり家で静かになんて無理ね。
年齢の自覚がないと言っても、やっぱり体は変わってきています。80代後半から、できないことがいっぱい増えました。
なにしろ、足の爪がうまく切れない。体が曲げにくくて手がなかなか届かないし、老眼で焦点が合わないから、どこに爪切りの刃を当てたらいいかわからないの。
それで電動の爪やすりを使ってみたら、指の肉まで削っちゃって……。本当に不便。ロボットがやってくれたらいいのに、なんてね。