火事場の馬鹿力で売却活動開始
実家を守るのは母の遺言でもあった。「蔵の中のものを分散するべからず!」というのもあった。
「蔵の中も初めて見てみましたが、曾祖母や祖母のタンス類と漆器、塗り物、食器の類。どこかの料理屋に持っていこうかと思ったけど、需要もなければ走り回る元気もありません。
お宝や金塊があるわけでもなく(笑)、あとは母の着物くらいかな。昔の感覚ですから、財産と呼べるようなものでもありません。
母の気持ちは尊重したいけど、縛られるものでもありませんからね。妹もほとんど興味がないようで、もうわかった!私の好きにすると吹っ切れました」
売却すると決めたらまっしぐらの和子さん。半分は腹立ち紛れだったかもしれないと振り返る。まずは地元の不動産屋に査定してもらい、「売却は難しい」という返事をもらう。
次は自治体が扱っている空き家バンクで売却と賃貸の両面で探してもらうが、買い手は見つからず、賃貸に出すにも遺品の整理に最低200万円はかかるとのこと。
怒りが頂点に達したとき、話を聞いてくれる不動産屋が見つかった。