夜にゴトゴトと音が
そして夜、彼女の部屋は足の踏み場もなく散らかるのだった。
ゴトゴトと音がし、ベッドから這い出した竹下さんが小型のタンスから衣服を全部引っぱり出し、床に広げるからだ。スタッフがそれをきれいに畳んでタンスにしまってあげても、つぎの夜になるとまたゴトゴトと音がし、引っぱり出しが始まる。そして衣服を床に広げるのだった。
足腰の立たない竹下さんは、床に這いずりながらそれをやっていた。
「やめんな」と言っても、聞こえたのか聞こえないのか、構わずに引っぱり出しを続ける。
引っぱり出したものを、わたしがタンスに戻そうとすると、何も言わずに手を振りまわし暴れだす。仕方がないので、翌日、彼女をホールに誘導したあと、昼間のスタッフが片付けなければならなかった。
が、それも夜になると、またゴトゴトと音がし引っぱり出しが始まる。
スタッフはまた仕分けをし、きちんと畳んでタンスに戻すのだったが、最後には畳まずに仕分けだけしてタンスに入れるようになった。