糖質も含めてバランスよく食事を摂取
単純に「痩せる」と考えると、「合成させなければいい」のですから、糖質をとらなければ合成のしくみが働かなくなり、痩せ細っていくことになります。でも、この「合成」という働きをできるだけさせないようにして痩せ細ることが、健康的な食べ方なのでしょうか? 身体の構成成分であるたんぱく質や脂質をスムーズに合成できるしくみがあるからこそ、筋肉も、髪の毛も、皮膚も、骨も、細胞膜や神経細胞も、正常につくられ、そして正常に機能するのです。
糖質にはこうした重要な役割があるため、糖質が不足しているときには、身体はたんぱく質を代わりに使って糖をつくり出します。そのため、糖質を抜き、その分たんぱく質を多くとれば、血糖値は上がらないので合成を控えられるし、ダイエットにも効果的なのではないか? という論議もされ続けています。
でもここで考えてほしいのは、厚生労働省が定めた、糖質、たんぱく質、脂質の摂取バランスの基準である「エネルギー産生栄養素バランス」です。健康づくりを目的とした場合、50代女性ならば、たんぱく質:14~20%、脂質:20~30%、炭水化物:50~65%という比率が適正とされています。摂取エネルギーの半分以上を糖質でとる食べ方が、最も病気の罹患率が低く、肥満症の人も少ない理想的な食べ方だということが統計的に出ているのです。
そして大事な点は、糖質を抜かなければ減量はできないのか? ということです。糖質も含めてバランスよく食事を摂取しながら筋トレを続けていくことで筋肉量を増やすことができ、それによって代謝が上がり、体脂肪も落ちやすい体質になっていくのです。
とは言え、主食の代わりに嗜好品から糖質をとることや、穀類であってもさまざまな栄養素を排除した「精製された白いご飯や白いパン」などを単体で摂取するようなことは避けるべきです。そして、主食を抜いてバランスを崩すのではなく、無駄なものを摂取しないようにしてバランスのよい食べ方をし、筋肉量を増やして痩せやすい身体づくりをすることが大事なのです。
※本稿は、『女性のための50歳からの筋トレ入門』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
『女性のための50歳からの筋トレ入門』(著:西本朱希/かんき出版)
本書は50~70代の一般女性にもトレーニング指導している著者が、女性のためのウエイトトレーニング方法をわかりやすく解説。
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