大人になったら『仮面ライダー』になりたい
『仮面ライダー』は、ベースが生身の人間である。ロボットでも宇宙人でもなく、人間だった。戦っている怪人も、秘密結社により手術を施されただけで、ベースは人間だ。胸は張ったものの、当時の6歳にしてはあまりにも幼稚でお恥ずかしい話をひとつ。
大人になったら『仮面ライダー』になりたい。
生まれて初めて描いた夢だ。
荒川区の産婦人科に生まれた以上、宇宙人にはなれない。大型ロボットを操縦することにロマンを感じたが、それよりも自分自身の身体で戦うことに震えた。地球の平和を、どんなに苦しくともつらくとも守り抜くことに自身を捧げる覚悟に、美学を見出したのである。
自己犠牲であり滅私奉公だ。そんなヒーロー感が完成した。