そして、いろんな俳優が、知的ステータスみたいにして演じたがる『ゴドーを待ちながら』出演に至る経緯は?

――えーと、共演した橋爪功さんとはいろんなテレビドラマで出会いましてね。お互いに大阪育ちなもんですから、気取ることのできない性分でしてね。『ひらり』から大分あとの『すずらん』でも共演しました。

その頃に、うちの女房のやってる店でヅメさんと飲んだりして、その時の二人の会話が、大阪弁ですからどうしたって漫才なんですよね。それを見てた演出家の森新太郎さんが、この二人でいつか『ゴドー』をやりたいと思ったそうで、新国立劇場の上演リストに挙げちゃったらしくて。

ある日、ヅメさんから電話があって、「お前、『ゴドー』って知ってる?」「それくらい誰だって知ってるだろ」「フーン知ってるのか」「どうしたの?」「いや、やるかお前。やるって話あんだけどさ」「ああやるよ」「えっ、お前やるの?」ってね。

そしたら、稽古に時間かかるよとか、あんなわけわかんない芝居さぁとか、もういろんな人がやって手垢がついてるしさぁとか、いろいろ言うんで、「やめてもいいよ、俺はヅメさん次第だよ」「じゃあやろう」「うん、やろうよ」ってなりましてね。

前にまだお笑いをやってた頃に、漫才の星セント・ルイスが早野寿郎さんの演出で、紀伊國屋ホールでやったのを何度か見てるんですよ。セントがやったんだから俺だってできるだろ、ぐらいのことなんでね。それがまぁ、初めての「新劇」ですかね。

 

不条理劇が大好きだったのり平さんがその舞台を観たら何と言ってくれただろうか。

――そうね、別役実さんとか好きでしたからね。もっと生きててもらいたかった。近ごろのり平さんとか九さんとか、叱ってくれる人がいなくなって、ほんとに寂しいけど、まぁそこそこ頑張ってますよ。

 

最近も朗読劇や映画などでご活躍の元気な「サブちゃん」に、声援を送ります。