「結局僕はのり平の棺を担いだんですからね。誇らしかったですよ。子供の頃から憧れた人でしたから。《求めよ、さらば与えられん》って言葉が浮かんだりしましたね」(撮影:岡本隆史)
演劇の世界で時代を切り拓き、第一線を走り続ける名優たち。その人生に訪れた「3つの転機」とは――。半世紀にわたり彼らの仕事を見つめ、綴ってきた、エッセイストの関容子が聞く。第39回は俳優の石倉三郎さん。東映を3年で辞めた後も、大きな役はなくとも役者を続けていた石倉さん。大きな転機となったのは――。(撮影:岡本隆史)

前編よりつづく

のり平の棺を担いだ

コントを始めた頃、ビートたけしや三木のり平にも出会っている。

――たけちゃんとはね、最初のコンビの時ですよ。チャップリンズってね。浅草松竹演芸場に出てたけど、ウケも何もしないんですよ。

たけちゃんもツービートで出てて、ある時僕が楽屋に一人でいたら、「おじさん、なんか東映上がりで、演芸場で浮いてるらしいな」。

うっせえなこの野郎と思ったけど、「ちょっとやんねぇか」って奢ってもらってガンガン飲んで、帰って夜の部の出番。

酔ってますからわけわかんないですよ。それがウケちゃった。それで何かつかんだかもしれない。