可愛いと思えなくなる瞬間も

しかし、だからと言って「子持ち」を「持つ者」とするのはおかしいとも思う。

子持ちでなくとも、少しでも子育てを見聞きした人なら、その壮絶さがわかるのではないか。

私も、姪っ子や友人の子と出かけたり、一時的に預かったことが何度かある。

私の場合はではあるが、言葉が通じない新生児とは、30分一緒にいるのが限界だった。外から見る分には可愛い。でも一緒にいて世話をするとなると、可愛いと思えなくなる瞬間の方が多い。

未就学児と同伴で入れない店も多い。雑貨屋など子どもが触って割ったり、走って迷惑をかける店には入るのを躊躇してしまう。

ベビーカーやマザーズバッグを持ち、抱っこ紐で赤ちゃんを持てばかなりの重量で、歩ける子も連れれば道路に飛び出す危険性もあり常に神経を尖らせる必要がある。

食べ物の好き嫌いもあり、ご飯を食べさせるのも簡単ではない。トイレに行っておきなさいと言っても聞かず、トイレが遠ざかってからトイレに行きたいと言い出す。長距離は歩けないし、予想できない方向にいきなり走り出す。お腹が減ったり眠くなると機嫌が悪くなり手が付けられなくなることもあるし、癇癪を起こせばもう可愛い子どもの面影はそこにはない。

子どもが中心の生活になると、自分の好きなものをゆっくり食べたり、好きな場所に行く、自分に時間をかけるということが極めて難しくなる。まとまった睡眠もとれず、夜中に起こされ、やっと寝ても早朝に起こされ。慢性的な寝不足で体調も悪くなる。

子どもは本当によく熱を出す。保育園に預けないと働けないが、預ければ次から次へとあらゆる感染症を持って帰り、そのたびに親は会社を休まざるをえない。そうなると代わりに仕事を引き受ける同僚からいい顔をされないこともあるし、重要な仕事は任せられないと判断されやりがいのある仕事から外されることもある。

火曜ドラマ『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』
主人公の詩穂は、自ら専業主婦という道を選んだ。火曜ドラマ『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』(C)TBS