子育ては「誰かがやらないといけないこと」
子育ては誰かがやらないといけない。少子化により社会保障制度や教育制度、社会そのものが維持できなくなったら不利益を受けるのはこの社会で生きるすべての人なのだ。そう思うと、子育てする人は自分のためだけにやっているのではない。この社会で生きるすべての人の替わりに、命がけで子どもを産み(これは女性だけだが)、多額のお金をかけ、体力や時間、持てる資力を使って、時に自分のキャリアややりたいことを犠牲にして、「誰かがやらないといけないこと」をやってくれている人たちなのだ。
そんな人たちを一方的に「持つ者」と決めつけ、子持ち様と揶揄する。そんな視座の低さがあらゆるものの見方や議論を歪ませている気がしてならないのだ。子育てをする人への給付金などの議論が出ると、「独身税だ」「独身を無下にするのか」といった声が出る。
しかし、ひとりの人間を育てるとなれば途方もないお金がかかる。給付金が出ようが焼け石に水。経済的に負担を回避するという観点であれば子どもを産まないほうがよほど正解なのだ。
実際は大きな犠牲を払っている人を「持つ者」と断じるのではなく、実情を冷静に見ることが必要なのではないか。