ヴィラ・アイーダ
・ヴィラ・アイーダ――店主の畑直送の野菜で味わうテロワール
ヴィラ・アイーダは野菜料理のレストランです。それだけ聞くとよくあるように思えるかもしれませんが、野菜へのこだわりが飛び抜けている。レストランの隣にある畑で、シェフ自ら年間約300種もの野菜を育てているのです。
コースには魚料理や肉料理も含まれますが、付け合わせはもちろんソースにも野菜がふんだんに使われており、どこまで行っても主役は野菜。そして、すべての料理の野菜が「そう調理されるべくして調理された」という必然性を帯びており、抜群に美味しいのです。
そんな料理を一口でも味わえば、シェフが自分で畑をやっているのも納得です。地元産の野菜を購入するのではなく、自分が料理で表現したいことを実現するために、使う食材から自分で育てているというわけです。
ヴィラ・アイーダに行ったとき、本当に豊かな食とは何だろうと考えてしまいました。
それはきっと、世界各地の高級食材をふんだんに使った料理を食べることとは限らないのでしょう。その土地に、その食材に、その料理に、どんなストーリーが込められているかに思いを馳せる。これこそ豊かな食行動なのではないか。
そんな気持ちにさせてくれる店だからこそ、地方という立地が難点どころか魅力となり、多くの人を惹き付けているのです。
※本稿は、『一流飲食店のすごい戦略 1万1000軒以上食べ歩いた僕が見つけた、また行きたくなるお店の秘密』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
『一流飲食店のすごい戦略 1万1000軒以上食べ歩いた僕が見つけた、また行きたくなるお店の秘密』(著:見冨右衛門/クロスメディア・パブリッシング)
「成功している飲食店」には、飲食業にとどまらない「ビジネスのヒント」がぎっしり詰まっています。
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