「頻繁に会わなくても、《つながっている》という感覚があると、心があったかくなりますよね」(柴田さん)「ほっこりする。歳を重ねると、そういうつながりは宝物ね」(田村さん)

田村 ピンポンして「お元気?」と言ったら、「うん。コーヒーでも飲んでいく?」と言ってくださるから、「ちょっと人がいるんですけど、いいですか?」と、ぞろぞろお邪魔するの。いそいそ準備してくださるわ。

柴田 人が訪ねてくるのが嬉しいのかもしれませんね。だから、持ちつ持たれつというか。

田村 そうかもね。私のお客さんたちは、「都内でもこんなつきあい方があるんですか」と、みんなうらやましがっていました。

柴田 なんか、いいなぁ。

田村 別の階にピアニストの女性がいらして、その方、毎日夕方屋上で景色を眺めるの。それでいつしか、私も含めて2、3人集まるようになりました。空の雲の色が刻々と変わる様子がすごく素敵。「わぁ、音楽みたい」なんて言いながらぼんやり見ているのが楽しいんです。

柴田 私も時々、夕陽が見える丘に犬を連れていきます。犬連れの人がけっこう集まって、お互いに犬におやつをあげたりしながらしばらくぼーっとしてから、「じゃあ、帰りますね」と。そんなさっぱりしたつきあいが心地いいんですよね。