内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、65歳以上の人の死因では、老衰を除けば悪性新生物(がん)や心疾患、脳血管疾患が多くなっています。そうした状況のなか、高齢者の異状死の特徴を研究しているのが、法医学者の高木徹也さんです。今回は高木さんの著書『こんなことで、死にたくなかった: 法医学者だけが知っている高齢者の「意外な死因」』から一部を抜粋し、再編集してお届けします。
薬の包装シートで死にかける
歳を重ねると増えるのが、飲まなきゃいけない薬の量ですね。
多くの薬は錠剤やカプセルで、プラスチックとアルミで挟んだシール状の包装シートに収まっているかと思います。
包装シートは、大気や紫外線による薬の変質や破損を防いで、清潔な状態を保つことを可能にしています。
ところが、高齢者がこの包装シートごと薬を服用して、死ぬかもしれない重大な傷害を負うことがあるのです。