心に浮かんだことばを口にすればいい
話しかけることばは何でもいい。ただ、心に浮かんだことばを口にすればいい。
私は、毎回、彼(息子)と出逢えたしあわせを語り、町で見かけたどの子よりあなたが素敵よ、なんて言っていた。実際、出産直後の母親とは不思議なもので、自分の子がかわいすぎて、客観的指標はぜんぜん意味がないのである。自分の子より整った顔の子を見たら、「あ〜、デキすぎ。美しすぎて、ビジネスエリアでは、軽く見られて、かえって苦労する顔だわ」とか本気で思っていたからね(微笑)。
それと、何も思い浮かばないときは、唱歌。「朧月夜」や「浜辺の歌」など、彼に伝えたい美しい日本語の音韻が満載だったからだ。あるいは、勝手に作ったオリジナルの子守歌とかね。
心に浮かぶことばを、浮かんだままに話す、歌う。基本的にはそれでいいと思う。悲しいときは、素直に悲しいことを語ってもいい。
胎内で聞いたり、赤ちゃんにかけられたことばの文脈上の意味は、2歳の後半にいったん壊れるようである。だとしたら、脳に残るのは、ことばの感性のみ。意味にあまりこだわる必要はない。