不満な人ほど相手を悪者に仕立て上げる

自分が焦っている。その時に「そんなに焦らすな!」と周囲の人に怒る。自分が偉くなりたい。その時に両親に向かって、息子は「そんなにオレに偉くなってくれと期待するな!」とか「どこまでオレが偉くなれば気が済むんだ!」と怒る。

カレン・ホルナイの言う「the feeling of inner coercion(内的強迫感)」とは、誰かがその人に強制するのではなく、その人自身がそうしないではいられないということである。

(写真提供:Photo AC)

誰もその人に「偉くなって欲しい」と期待していないのに、自分が偉くならないと気が済まない。それが内的強制である。そうしないではいられないという強迫性が、内的強制である。

それは自分の心が「『べき』の暴君」の支配にゆだねられている状態である*1。

*1 Karen Horney, Our Inner Conflicts, W. W. Norton & Company, 1945, p.123.