不満な人ほど相手を悪く解釈する
自分が独立して仕事をするのが怖い。大企業に就職したい。そんな時に「親が」大企業に就職しろと言っていると言う。
自分の中の「大企業に就職したい」という気持ちを親に外化してしまう。
不満な人ほど相手を悪く解釈する。お腹の空いている時には相手を悪く思う。偏見を持つ。いない民族を憎む。
自分の適性に合っていない職業に就いている人がいる。しかし、その職業が自分の適性に合っていないと気がついていない。そんな時になぜか色々なことに不満になる。周囲の人の態度に不満になる。また、人は自分が満足していなければ、なかなか人に優しくなれない。このことを考えても、外化という心理過程は理解できるのではなかろうか。
自分に満足している人は、それほど人を悪くは言わないし、社会に対してそれほど不満を言わない。「社会が悪い、政治が悪い、アメリカが悪い」と騒がない。自分に不満だからこのように騒いでいる人たちは、違った社会になってもまた「社会が悪い、政治が悪い、アメリカが悪い」と騒ぐ。そのように騒ぐことが自分に対する不満の外化だからである。
今の日本の若者が、諸外国の若者に比べて飛び抜けて、社会に対して、地域に対して、職場に対して、家庭に対して、学校に対して不満なのは、日本の若者が自分に対して不満だからである。
自分が自分自身を責めているのに、他人が自分を責めていると思う。
自分が自分自身を憎んでいるのに、他人が自分を憎んでいると思う。
※本稿は、『人はどこで人生を間違えるのか』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
『人はどこで人生を間違えるのか』(著:加藤諦三/幻冬舎)
手に入らない成功、不本意な評価、漠然とした生きづらさ――。「自分は生き方をどう間違えたのか?」と悩む人は多いだろう。
その原因は、不安や怒りにまかせて他人を責めてしまう「外化」という心理メカニズムにある。
人生相談のカリスマが贈る、満足のいく人生を送るための心理学。