自己蔑視している人にいくら親切にしても……

「ノイローゼの人は、自己実現するよりも理想の自我像の実現にエネルギーがシフトする」という精神科医のカレン・ホルナイの言葉がある。これは、ノイローゼになると、自己実現よりも愛されるためにエネルギーを使うようになるということである。

つまり、自己実現するよりも、理想の自我像の実現にエネルギーがシフトする人は、愛されていない人である。

自己蔑視している人にいくら親切にしても、それを親切と受け取ってくれない。誠実な態度を、誠実な態度と受け取ってくれない。

自己蔑視している人のまわりには、はじめからずるい人だけがいたわけではない。自己蔑視している人が、ずるい人だけを自分のまわりに集めてしまったのである。

とにかく一所懸命働いて、真面目に努力して、それで何も良いことがない。「辛いばかりの人生だ」と言う人は、自分の心の底をしっかりと覗いてみることである。

※本稿は、『人はどこで人生を間違えるのか』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

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