「女性は自分や家族のことで気になることがあると、いろいろ調べたり、友達と話したりして“人生の予習”をする。だけど男性は、人生の課題を課題と見ないようにしている傾向があるのかもしれません」(三浦編集長)

 

スー やっぱり見たいな、男性の本音。凄い地獄絵図になるだろうけど。過去の実態が是正されつつあることを、“抑圧”と捉えている人が少なからずいると思うので。「女は体力がないから戦力にならない」とか「産休育休をとるくせに、俺より昇進が早い」とか、そういう“女はずるい”的なものがダーッと出てくるのではないかな。

それに対して同性である男性が、「お前何言ってるの? それは社会システムの問題だよ」と言えるのか。男性が女性に同調すると、「お前モテたいだけだろ?」と叩かれたりすることもあるじゃないですか。すべての行動原理が“モテ”で判定されてしまうっていうのが、男性のかわいそうなところでもあるので。

小坂 男性向け掲示板は運営のメンテナンスが大変そう。(笑)

スー 「妻にこう言われてつらい」みたいな愚痴トピックを見て、初めて男性が「俺だけじゃないんだ」って不特定多数の人と共感することの快感を知るのかもしれないですよ。そういう場を育てるのはすごく時間かかると思いますけど。

三浦 小坂さんのお話ですと、「発言小町」もこの20年という時をかけてだんだん場として成熟してきたのでしょうね。女性のための掲示板です、と場を設けられても、最初はどう話していいのかわからなかったでしょう。でも皆さんの投稿で自然と流れができてきたのでしょうか。

スー もっと荒れていた時期があったでしょうし。その発言は明らかに差別だよ、というようなやりとりもあったと思うから。

小坂 掲示板って生き物みたいなもので、集まってきた人や時代性を反映して変化する。しかも運営管理は、コンピュータのAI機能じゃなくて人力で行っているから、どのぐらいギリギリ感が出るかっていうのは時期によって違ってきますね。

スー 男性に場を提供しても、普段話していることと変わらない、会社の愚痴とか、好きなスポーツの話とか、政治のこととかがメインになる可能性もありますよね。

小坂 掲示板って“ひとり語り”は駄目なんですよね。つまり、投げかけがあって、それに対して「私はこう思いますよ」というのを伝える場だから。「接待ゴルフが大成功!」みたいな話題を振られても「へー」で終わっちゃう。

 

「政治」「経済」「国際」「福祉」のタブを作って欲しい

スー でも逆に、「発言小町」で政治のことや経済のことがウワーッと盛り上がったりしないのはなぜかっていうのもありますよね。

小坂 タブがないからでしょうか。

スー それは作ってほしいけどな。「政治」「経済」「国際」を入れてほしい。世界のニュースでこういうのがあったけど日本と全然違いますね、みたいなことでもいいし。

三浦 今の「発言小町」で「政治」って検索すると、「社内」とか「職場」という言葉が前につくものが多いですね。

スー 盛り上がらなくてもいいから、選択肢としてね。結局タブのつけ方っていうか、キュレーションの仕方次第で見え方は違ってくると思うんですよ。パートで今いくらもらっているとか、家計の話も十分経済じゃないですか。

三浦 『婦人公論』でもお金の特集は人気がありますが、あくまで自分の家計に近い話に興味がある。「来年の日本経済の動向は」と少し広い範囲の話になると、読者アンケートの人気が下がる(笑)。そこまでは求めてなかった、ということかと思っています。