右から「OTEKOMACHI」の小坂佳子編集長、ジェーン・スーさん、『婦人公論』の三浦愛佳編集長(撮影:本社写真部)
「発言小町」に集う人が求めているのは、答えよりも共感や安心感である――。「発言小町」20周年記念鼎談〈前編〉では、主に発言小町の「これまで」について語っていただいた。さらに〈後編〉では、「OTEKOMACHI」の小坂佳子編集長、『婦人公論』の三浦愛佳編集長、そしてジェーン・スーさんの3人が、これからの「発言小町」にとって大事なことは何かを考える流れに。共感の場が集合知へと姿を変えるために必要なこと――、これが「発言小町」的未来予想図!(構成=西澤千央  撮影=本社写真部)

〈前編よりつづく

男性版「発言小町」が出てきたら

三浦 「発言小町」が立ち上がってから現在までの20年間で、語られる内容は変化してきたとのこと。一貫して変わらないのはやっぱり「匿名である」ということでしょうか?

小坂 投稿規定にもあるように、基本的には書いたものに運営側で手を入れることはありません。その結果どうなるかっていうと、剥き出しの、結構びっくりするようなものも出てくる。よそゆきの場では見られない「本音」が、匿名であることで語られているんだな、と……。

三浦 Twitterと「発言小町」のスレッド(一連のやりとり)にはどういった違いがあるのでしょうね。

スー Twitterで引用リツイートをして書いている人は、最初に投稿した人に自分の言葉が届くとはおそらく思っていないでしょうね。そのへんに落ちている紙の上にコメントをつけているつもりだから。「発言小町」のような掲示板の形だと返信が投稿の下についていくので、自分の意見がトピ主に届くということはわかっている気がします、よくも悪くも。掲示板はあくまでトピックを書いた人の場だっていうことが、フォーマット的に体感しやすいのでしょうね。

三浦 “届く”感覚があるからこそ、「発言小町」でチラホラ見かける「ちなみにうちの夫は年収1000万です」のような自慢も有効になるのでしょうか。

スー “年収1000万円夫を持つ金持ち専業主婦” がぶつけてくる意見のリアリティの無さったらないですよね(笑)。本当なのかな? と思うくらい。みんな、年収1000万円に夢見すぎだよ!

小坂 しかも、10年以上前から年収1000万円発言はあるんです。

スー そう! 日本経済がいかに停滞していたかを表していますよね。

三浦 主婦の願望にも日本経済が読み取れる。「発言小町」は生きた社会の資料ですね。

スー ところで「発言小町」のサイトの上部にあるタブは、どういう基準でカテゴリー分けをしているんですか? 「話題」「男女」「子供」「働く」「ひと」……とありますが。

小坂 長らくこのカテゴリーなので、どういう基準で決めたかはわからないんです。ただ、男性から「発言小町は男性が書きにくい。怖くて書けない」という意見があったので、途中で「男性発」を足したようです。確かに男性がコメントを書くと、大体「わかってない!」みたいにワーッと女性たちにやられちゃうのでね。