小坂 ただ、最近の若い人の経済に対する関心は高いですよね。将来が不安で、先行きが見通せないから、投資とかにも勉強熱心です。

スー 19歳でホームレス生活。限界を感じています。というトピックも社会問題ですよね。だけど、そういうタブをつけられないと個人の問題に帰結しちゃう。

三浦 このトピ主は、とても若いこともあり区役所に相談に行っていいんだということも知らなくて。「発言小町」のみなさんからコメントで「生活保護がありますよ」とアドバイスされて、はじめて福祉の存在を知ったんですよね。

スー 「福祉」のタブもほしいな。なぜかというと、介護制度があまりに五里霧中だから。インターネットで、芸能人の交際相手を特定する能力に長けている人っているじゃないですか。ああいう人は介護の情報を拾うのもすごく上手いだろうなと思う。それは押さえておくべき制度を見つけ出すことに長けているはずだから。どれが有益でどれが無益な情報かをわかったうえで、どういうケアマネジャーをつけたらよいかとか、うちの親の資産だとここへ行ったほうがいいとか。

三浦 確かに介護は制度が複雑ですしね。

スー 高島忠夫さんのご家族が、しばらく介護保険の存在を知らなかったというニュースがあったじゃないですか。生活に根ざした感じで情報が共有できたら、困った時の拠りどころになるはずです。

私、昔ひどいアトピーで、肌が爛れていた時期がありまして。困っていた時に一番役に立ったのが「2ちゃんねる」のアトピー板だったんですよ。薬の種類や使用感とか、おすすめの病院情報とか、生の声が書いてある。さすがにそういう掲示板に、アトピーじゃない人はほとんど書き込みませんから。私はたまたま合う薬が掲示板の情報から見つかって、だいぶ改善しました。当事者の話を聞くって本当に貴重だなと思ったわけです。

三浦 そうですね。『婦人公論』の「100周年記念読者ノンフィクション」で大賞を受賞した作品は、急性リンパ腫から生還した人の体験談でした。同じ病気の人のブログや掲示板から情報を得て、当事者同士の気持ちの共有が励みになったと書かれていて、とても説得力がありました。インターネットだからこそできるつながり方かもしれません。

スー 共感から集合知みたいなところに拡張できるのが、インターネットのよいところです。

小坂 住んでいるところも属性も年代も非常に多様な人の意見が集まる場というのは、貴重なのかもしれませんね。それに「発言小町」に書き込んでも何の特典もないのに、いい意味ですごくお節介な人がいっぱい集まっていて、それがとても嬉しい。

スー ポイントが貯まるわけでもないですしね。(笑)

三浦 女性の“お節介力”というか、世話好きな性質ゆえなんでしょうね。ほら、かつてはご近所や親戚にいたでしょう? “お見合いおばさん”とか、「お節介かもしれないけど」と言いつつ、首をつっこみ手を貸してくれるおばさんが。地縁血縁のつながりが薄くなった現代、インターネットという仮想空間で人は助け合っているのかもしれません。

小坂 そうなんです。他人の悩みに付き合ってくれる人がこんなにたくさんいるから20年も続いたんだな、と今あらためて思います。