親子の関係性にもよるかもしれない
ほかにも、温泉が好きで、2ヵ月に一度くらい日帰り温泉に連れていくと、「今日は温泉に入れて極楽極楽。おれがうまいものをおごってやる」と、帰り道にみんなでおすしを食べて帰ります。相撲中継も好きで、地元出身のお相撲さんが勝つとご機嫌なのだとか。
「最近はもの忘れもひどくなってきて、以前より見守り介護が必要になってきています。24時間気が休まらず、正直、介護がきついと感じることもありますが、本人が機嫌よくすごしていると、こちらもうれしくなりますね。『この折り紙の紙は折りにくいから、違うやつを買ってこい』だの『たまにはうなぎが食いたい』だのけっこうわがままを言いますよ。でも、本人は楽しそうにしているので、まあ、いいかと思っています」と娘さん。
たしかに、介護される人がムスーッと不機嫌でいるのは、介護する人にとってはつらいものです。介護する人がどんなにやさしい心を持とうと思っても、気が滅入ってしまいます。
介護する人もされる人もストレスを背負い込みすぎず、おたがいに幸せを感じられるかたちは、その親子の関係性にもよるかもしれません。
Aさんのような精神力を身につけるか、Bさんのようにわがままを言いながらもご機嫌力を身につけるか。Bさんの路線なら、私にもできそうな気がします。
※本稿は、『93歳、あとは楽しげに生きる ヨタヘロな私の心得69』(講談社)の一部を再編集したものです。
『93歳、あとは楽しげに生きる ヨタヘロな私の心得69』(著:樋口恵子/講談社)
「これが最後の本と思って書いたわよ~」
御年93歳のヒグチさん、80代より「今が幸せ」と言える秘訣を69の心得としてまとめました。