「『年を取れば誰でも目は衰える』という考えは間違いです」と話すのは、回生眼科院長の山口康三先生。先生いわく、「目の病気も、れっきとした生活習慣病。食事の偏りや運動不足の影響は、体の一部である目にも及ぶ」のだそうで――。そこで今回は、山口先生の著書『緑内障・白内障は血流の改善でよくなる 黄斑変性・糖尿病網膜症・ドライアイにも効果』より一部を抜粋し、お届けします。
目の病気も生活習慣病
栃木県にある小さな眼科医院の当院には、緑内障や白内障、加齢黄斑変性など目の病気に悩む患者さんが、地域の方はもちろんのこと、北海道や沖縄など遠方の方も訪れます。
その理由は、当院が、通常の眼科における治療とは少し違った方法で、良い結果を出しているからでしょう。標準治療だけでは満足できない患者さんがおおぜいおられます。
目の病気でありながら、長年、私が治療の一環として続けてきたのが、食事や運動、心の持ち方など生活改善の指導です。必要に応じて、西洋医学の薬や漢方薬の処方もしますが、治療の主体はあくまでも生活改善にあります。
具体的には、食べすぎをやめて少食にする、ウォーキングなどの運動習慣をもつ、便秘をなくすよう腸内環境を整える、早寝をしてストレスをためない、などをアドバイスします。こうした生活改善を実践し、目の病気の改善や進行の阻止に成功した方は、多数にのぼります。
標準治療だけを受けていたら、深刻な病状の悪化や失明をまぬがれなかったと思われる例でも、良好な視力を保ったり、改善できたりしているのです。
眼科医の私が生活改善の指導に注力する理由は、目の病気と生活習慣は密接にかかわっていると考えるからです。
糖尿病や高血圧、脂質異常症、メタボリックシンドロームなどが、「生活習慣病」と呼ばれていることは皆さんもご存じでしょう。これらの病気は、食生活の乱れ、運動不足、睡眠不足など生活習慣が原因となって発症するので、生活習慣の見直しが治療の基本です。
目の病気も、れっきとした生活習慣病です。食事の偏りや運動不足の影響は、体の一部である目にも及びます。目の病気治療にも生活改善が欠かせないのです。