涼やかな青い花
夏、朝早くに、チョウのような形の真っ青の花を咲かせる植物があります。でも、雑草ですから、気をつけていないと目にとまらないかもしれません。しかも、暑い日だと昼過ぎには萎れて、花は閉じてしまいます。この植物は、ツユクサです。
NHKラジオ放送に、「子ども科学電話相談」という番組があります。私は、この番組に2007年から19年間出演しています。この番組は生放送ですので、前日にホテルに宿泊し、当日の朝、NHKラジオのスタジオに行きます。
ある夏休みの出演の日、歩いて5分ほどですが、その途上の建物の前の植え込みに、この花が涼しげにきれいな青い花を咲かせていました。その颯爽と咲いている姿がとても印象的だったので、その姿を見た感激を、番組の冒頭で伝えました。
「ツユクサは雑草ですが、朝早くに、颯爽と、青い花を咲かせていました」とお話ししました。これは、「雑草」を「颯爽」と洒落て喋ったつもりですが、スタジオではあまり通じなかったようです。
その日、この放送を聞いてくださったリスナーの方々に、どのくらい通じたのかわかりません。でも、この植物が、暑い夏の朝に涼しげに青い花を咲かせている姿は、たいへん印象的です。ぜひ、観察してください。
ツユクサは、日本を含む東アジアが原産地で、6〜10月の朝早く、露に濡れながら花を咲かせるところから、「露草」という名がついています。湿気が多い、少し日当たりの良くないところで育てば、やわらかく、形は小さいササのような葉っぱが育ちます。
この植物の英語名は「デイフラワー(dayflower)」であり、花が、朝に開き、夕方には萎れてしまう「一日花」であることにちなみます。「デイ」は一日であり、「フラワー」は花です。「デイ・フラワーのデイは、夜(ナイト)に対する昼(デイ)なのではないか」とも考えられます。実際に、花は昼だけ咲いているので、そのようにも思われます。どちらが、ほんとうの語源かは定かではありません。