夏の暑さに負けない“しくみ”を教えてくれる

ツユクサは、夏の日当たりの強い場所で育っていることが多く、「強い太陽の光に、どのように対処しているのか」との疑問が浮かびます。

真夏の炎天下、海岸や砂浜に自動車を数時間止めておくと、車体の表面は手で触れるとやけどをしそうになるくらい熱くなります。一方、その自動車のそばで、同じように太陽の光を受けている植物の葉っぱは、手を触れても熱くありません。

植物は、光合成に使う光を受けるために、葉っぱを広げています。そのため、強い日差しを受けた葉っぱは、熱を吸収して、温度が高くなるはずです。しかし、葉っぱは熱くなってはいけません。

葉っぱでは、光合成が行われています。そのために、多くの酵素がはたらいており、酵素はタンパク質という物質でできています。タンパク質は、高熱に弱く、温度が高くなりすぎると性質が変わってしまうので、酵素としての働きを失います。すると、植物は、光合成が営めなくなります。そのため、植物は、葉っぱの温度である「葉温(ようおん)」が、そのような高温になりそうな場合、懸命に抵抗します。

その方法は、汗をかくことです。葉っぱの表面から水をさかんに蒸発させ、「気化熱」で葉温を下げるのです。葉っぱから水が蒸発することは、「蒸散」とよばれます。水が蒸発するときには、葉っぱから熱を奪っていくので、葉っぱの温度が下がります。人間が汗をかいて体温の上昇を抑えるのと同じ原理です。