オナモミの名前の由来
オナモミの果実の中に、どのようなタネが入っているのかを調べるのは、一苦労です。果実の表面には硬くて鋭いトゲが密に生えているので、トゲに刺されずにタネを容易には取り出せません。中には、ぽっこりしたタネが2個入っているのです。
この果実のトゲは、「動物の毛や人間の衣服にひっついて移動するのに役立っている」といわれます。それはそうなのですが、その役割が誇張されすぎています。トゲが刺さったときには、ヒリヒリする指の痛みを感じながら、このトゲには「ぽっこりしたタネを動物に絶対に食べられないように守る役割がある」ということを認識せざるを得ません。
オナモミの「オ」は「雄」であり、たくましく思える姿に由来し、「なもみ」は、果実がひっつく性質から、「絡みつく」や「くっつく」、「引っかかる」を意味する「なずむ」に由来するといわれます。また、ヘビに咬まれたときなどに、痛みを和らげるために、生の葉を揉んで傷口につけたため、「生揉(なも)み」に由来するという説もあります。
ちなみに、オナモミの漢字名は「し耳(しじ。「し」は、苔に木)」です。これは、中国で、青い果実が耳飾りに似ているところから「蒼耳」と書かれていたことに由来するとされます。漢字の生薬名は「蒼耳子(そうじし)」です。