謎解きのヒントが見つかった

ところが、意外なときに、この謎解きのヒントが見つかった。

稲垣教授と雑草サークルのメンバーが、大学の近くの休耕田で、雑草観察会をしていたときのことである。

児島くんが、大きなイネ科雑草の穂を見つけた。

「大きいねぇ」

みんなが、集まってくる。

「それは、ケイヌビエだね。イヌビエの変種だ。長いノギが生えていることから、ケ(毛)イヌビエと呼ばれているが、イヌビエよりも、葉も大きいし、草丈も高いから、見分けやすい」

ケイヌビエはあまりに大きな穂を支えきれず、隣の雑草に寄りかかっている。

「それにしても、大きい穂だなぁ」

児島くんは、みんなに見せようと、ケイヌビエの大きな穂を持ち上げた。

そのときである。

児島くんが叫んだ。

「穂が緑色です!」

ケイヌビエは、タネの色は緑色だが、長いノギが紫色をしているのが特徴的だ。

ところが、である。

児島くんが穂をひっくり返すと、裏側は紫色ではなく、緑色をしていたのだ。

これは、どういうことなのだろう。

ケイヌビエは日光の当たる部分だけが紫色になっていて、日光の当たらない部分は、紫色になっていないようだ。