知らないうちに骨折する?(写真はイメージ/写真提供:Photo AC)
最近、姿勢が悪いと言われるようになった、歩くとすぐ疲れる、空を見上げるのがつらい…。そんな「小さな変化」を見過ごしていませんか?見た目も、健康も、命さえも左右するのが、実は加齢による【背中の丸まり】です。そのメカニズムと対策法について、年間3,000人以上の患者と向き合っている《背中のプロフェッショナル》である医師の野尻英俊さんがわかりやすく解説した『人は背中から老いていく』より、一部を抜粋して紹介します。

「背中の老い」がもたらす転倒・寝たきりリスク

「このあいだね、お茶飲み友だちの向井さん(仮名)が、転んで脚を骨折しちゃったのよ。そのまま寝たきりになってしまうんじゃないかって心配してたわ。私も最近、よく転びそうになるから本当に不安。年寄りが転ぶのって、けっこう大きな問題なのよね?」

声の主は、80代女性患者の小林さん(仮名)です。友人の向井さんが転倒して骨折したことと、ご自身にも同じようなことが起こらないかと不安になっていることを、沈痛な面持ちで話してくださいました。

小林さんのいうように、高齢者の転倒は本当に危険です。骨折と、それにともなう寝たきりの可能性を高めてしまいます。

とくに脚の骨折は、長期間の自立歩行を妨げ、筋力低下を増幅してしまうので、最大限気をつけなければなりません。

高い確率で、身体機能や認知機能が著しく衰えて要介護になりやすい、いわゆる「フレイル」と呼ばれる状態に直結してしまいます。