(写真提供:Photo AC)
老化による外見や体力、身体機能の衰えに悩む人は多いのではないでしょうか。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は、老化の原因は「体内で発生する活性酸素」にあり、病気を進行させてしまうと指摘します。特に、「60代は、活性酸素の害=サビつきが一気に進む時期」なのだそうです。そこで今回は、小林教授の著書『60代からは体の「サビ」を落としなさい』から一部を抜粋し、厄介なサビの落とし方をご紹介します。

1日2万回の呼吸で生じる「排ガス」を最小限に抑える

人間は、呼吸をしている限り活性酸素から逃れることはできません。わたしたちは空気中の酸素を細胞へ取り入れることで活動エネルギーを生み出しているわけですが、活性酸素はそのエネルギー生産過程でどうしても発生してしまう「排ガス」のようなものなのです。

人間が1分間に呼吸をする回数は12~20回。1日24時間で計算すると、2万回も呼吸していることになります。そして、そうやって取り入れた酸素のうちの、じつに2~3%が活性酸素として排出されているのです。ただ息をして生きているだけで、非常に多くの活性酸素が生み出され、それが一生涯日々繰り返されていくというわけですね。

もっとも、活性酸素が体にもたらすダメージの度合いは、「呼吸の仕方」によって大きく変わってきます。つまり、「悪い呼吸」をしているか「よい呼吸」をしているかで、影響度が違ってくるのです。

悪い呼吸で典型的なのは「浅くて速い呼吸」です

これは、日々ストレスや不安、心配事が多く、自律神経が交感神経優位に傾いている人に目立つ呼吸の仕方です。

浅くて速い呼吸が習慣化すると、脳や体に運ばれる酸素量が減ってしまいます。

すると、息切れしやすくなったり、血行が悪くなって冷えや肌荒れに悩まされやすくなったり、免疫力が落ちて風邪を引きやすくなったり、慌てて仕事でミスをしてしまったり、ネガティブな考えから抜け出せなくなって落ち込んでしまったりと、さまざまな不調に見舞われやすくなるのです。もちろん、活性酸素もたくさん排出されて、心身に多くのダメージをもたらすことになります。