太っていても「栄養が足りている」とは限らない
ひと昔前まで、「栄養失調」といえば、満足に食べることができない人たちが陥るものでした。
今でも、一部の国には、飢えてガリガリに痩せた人たちが多くいます。彼らは絶対的な食事量が不足しているために、栄養が摂れず、健康状態が維持できないどころか命の危機にすら陥っています。
一方で、日本ではこうしたことは少ないとはいえ、国民の栄養が十分に足りているともいえないのです。現代の日本では、「太っていても栄養失調」になる現象が見られます。いったいどういうことなのでしょうか?
前にも述べたように、肥満の主たる原因は糖質の摂取過剰です。肥満の人はたいてい糖質中毒に陥っており、何かを口に入れるとしたら糖質を優先します。その結果、ビタミンやミネラルなどの重要な栄養素が不足するのです。「太っていても栄養失調」とは、太るほど糖質を摂っているのに、そのほかの必要な栄養は摂りきれていないということです。