日本人のタンパク質摂取量の現状

現在の日本人のタンパク質摂取量はどのくらいなのでしょうか? 厚生労働省が毎年実施している国民健康・栄養調査の結果を下図に示しました。

<『よく聞く健康知識、どうなってるの?』より>

20歳以上における1日あたりのタンパク質摂取量(平均値および中央値)は、1990年代半ばには80グラム以上あったものが、最近では70グラム程度になっていることがわかります(この摂取量は、1950年代と同じレベルだといわれています)(1)。

では、タンパク質の摂取量が10グラム程度減少したことで、日本人の健康状態が大きく変化したのでしょうか?

『よく聞く健康知識、どうなってるの?』(著:坪井貴司、寺田新/東京大学出版会)

厚生労働省では、国民の健康の保持・増進をはかるうえで摂取することが望ましいエネルギーおよび栄養素の量の基準として、「日本人の食事摂取基準」を5年ごとに改訂・発表しています(最新版は2025年版)(2)。

タンパク質に関しても「推定平均必要量(50パーセントの人が必要量を満たせる量)」と「推奨量(ほとんど[97.5パーセント]の人が必要量を満たせる量)」という二つの基準が設定されており、18─64歳の男性でそれぞれ50グラムと65グラム、女性では40グラムと50 グラムという値が示されています。

したがって、現在の日本人のタンパク質摂取量は、1990年代半ばに比べると確かに減少しているものの、上記の調査結果を見る限り、大部分の日本人が不足状態に陥るような深刻な状況ではないと思われます。