シリーズ1作目の『風配図 WIND ROSE』の時には、舞台となるバルト海のゴットランド島に担当編集者が初めてのヨーロッパ行きでもある新婚旅行で行ってくださって。写真をたくさん撮って、現地でなくては手に入らない地図や本を買ってきてくれました。

思い出すだけでも涙が出るほど、うれしかった。そうやって皆さんに支えていただきながら、なんとか小説を書き続けています。

来年は16世紀イタリアの画家カラヴァッジョのことを書くつもりです。と言っても、カラヴァッジョ本人について書くわけではなく、彼の公認贋作者の視点から小説を書いてみたくて。

今やっている連載が終わったら、疲れて燃え尽き症候群になってしまうかもしれないけれど、一生懸命助けてくれる編集者を泣かせることになってしまうから、やっぱり書かないとね。

私も来年には96歳ですから、その作品が最後になるでしょう。……なんて言いながら、書きたいことはまだいろいろあるのだけど。

よく「最後に読者にひと言」と聞かれますが、私は年寄りが説教じみたことを言うのが大嫌い。私は好きなことを続けてきましたけれど、誰もがそうすべきだとも思いません。飽きたらやめるくらいのほうが、気楽に生きられるとも思います。

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