いつも機嫌よく見せる必要はない

ただ世間では、怒りの感情などネガティブな感情がわかりやすく表出しないことを機嫌のよさとしがちなのではないかと思います。

もちろんまったく怒りが生じない人なんていませんが、その怒りを表出してしまうと機嫌悪く見える、逆に、怒っていても怒りを表出しない人は機嫌よく見える、ということです。本来感情はいろんなサインとして表出されるものなので、怒りだってどうしても漏れ出てしまうわけですが、そうしたサインの出ていないことが機嫌のいい状態とされ、何ならわざとらしくでもハッピー感を出していたらもっと機嫌がいいと思われるわけです。

『嫌な気持ちにメンタルをやられない 不機嫌を飼いならそう』(著:藤野智哉/主婦の友社)

最近はそうして機嫌よくいることがマナーのようにいわれます。でも僕は、いつもいつも機嫌よくいる必要があるとは思いません。周りの人にとっては、上機嫌が持続してくれているほうがいいに決まっています。でも本来は感情に従うのが動物的であり、怒りが湧いてきたら怒りを出すのが自然なわけです。

人間は社会に適応するため怒りなどを抑えて生きていますが、それが自分にとってストレスになることもあります。本当は腹が立っているのに我慢しなきゃいけないわけですから。

人間なんだから、怒りが湧いたり不機嫌になったりするのは当然。出し方を工夫する必要はありますが、必ずしも他人にとって都合のよい上機嫌をずっと演じる必要はないと思います。

逆に、ずっと上機嫌に見えるのは、感情を抑えてそう装っているだけかもしれません。はらわたが煮えくり返っているけれど、それを表出していないだけで機嫌がいいと誤解されている可能性だってありますからね。