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「ぐっすり眠れないと健康に悪いのでは?」と不安に感じているあなた。もしかすると眠りに対する思い込みや誤解があるかもしれません。そこで世界的な睡眠学者であり、ノーベル賞候補ともいわれる柳沢正史先生に話を聞きました(構成:山田真理)

2よりつづく

Q.リラックスするために寝る前にお酒を飲んでもいい?

A. 寝酒は眠気を誘うが、眠りの質は悪くなる

 

アルコールを飲んだら眠くなるのは確かです。しかしそれは脳の働きが《麻痺》しているだけで、睡眠の機能が正常に働いているわけではありません。

アルコールで神経の活動が抑制されると、睡眠の深さや持続時間が減少してしまいます。またアルコールの利尿作用の影響で、夜間頻尿やそれにともなう中途覚醒も引き起こすことに。舌や喉の筋肉が弛緩して気道が狭まることで、後述する睡眠時無呼吸のリスクも増えます。

体内に入ったアルコールは3〜4時間で分解されるため、お酒は夕食と一緒に楽しむといいでしょう。ビールなら500mL、ワインならグラス2杯、日本酒なら1合までが適量の目安です。

「寝酒をしないと眠れなくなるのでは」と心配な人は、寝る前に毎日同じことを繰り返すベッドタイム・ルーティーン(入眠儀式)を試してみましょう。

パジャマに着替える、好きな音楽を聴く、アロマを焚く、ストレッチをするなど。自分がリラックスできるルーティーンを行うことで脳が「今から眠るんだ」と意識し、自然な眠気を催すという仕組みです。