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年を重ねていくと、心身にさまざまな変化が生じます。老後を元気に過ごしていくためには、どうしたらよいのでしょうか?今回は、長年高齢者医療に携わる精神科医・和田秀樹先生が、変わっていく自分の体に対する考え方や対処法をまとめた『80歳で体はこう変わるからやっておきたいこと』から、一部を抜粋してお届けします。

聞こえと認知症

関連性がないと思われがちですが、放っておいたら認知症まっしぐらという老化現象があります。それが「聞こえ」です。

年をとれば耳が遠くなるのはよくあることなのですが、しかたがないと簡単に片づけていい話ではありません。実は、耳が遠くなることこそ、認知機能の低下に直結しているのです。

海外の研究成果ではありますが、中年期(45~65歳)に難聴があると、高齢期に認知症のリスクが2倍に上昇するというデータが発表されました。

そもそも、難聴のある人は、もの忘れや不安感、焦燥などといった、認知症的な症状を感じる割合が高いので、より細やかな注意が必要なのです。

それでは、難聴が認知機能の低下に直結する理由を説明しましょう。