支えとなる関係
人は一人ではとても弱く、ちっぽけな存在です。
しかし、心から信頼してくれる誰かとの支えとなる関係が与えられたとき、一転して人は強くなることができます。
この力を、支えとなる関係と呼んでいます。
あなたが苦しくてつらかったときに、そばに誰がいたでしょう?
多くの人は家族の存在の大きさに気づきます。
いつもは、それほど重要と思っていなかった家族が、困難であればあるほど、大きな存在として、心の支えとなります。
結婚してしばらく経つと、夫婦や子どもたちの存在が空気のようにあたりまえになります。
ときにはぶつかって、離れたい気持ちになることもあります。
ところが、人生の危機に遭遇すると、空気のような存在だった家族が、粒だってキラキラと大切な宝物に見えてきます。
そして、家族がただそばにいるだけで、気持ちが安心することに気づくようになります。
すると、それまで絶対に言うことのなかった言葉「ありがとう」が、自然と出るようになります。
家族だけではありません。
友人の存在の大きさに気づく人もいます。仕事で行き詰まっているとき、何度も仕事を辞めようと思った人がいます。しかし、仕事を辞めてしまえば、生計を立てるすべがありません。
仕事も生活もすべて投げ出して、いっそのこと人生を終えてしまいたいとまで思い詰めている人がいました。
ある日、同期に入社した友人から食事に行く誘いがあり、気づくと夜遅くまで悩んでいたことを吐き出すように話し込んでいました。友達は涙を流しながら、ずっと話を聴いてくれ、そのとき自分のことをわかってくれる気がしました。
不思議ですが、次の朝、気持ちが楽になっていたそうです。
わかってくれる人がいると感じただけで、こんなに心が穏やかになるのだと知ったことで、仕事を続けることができ、今ではプロジェクトの責任者を任されるまでになっています。
※本稿は『暗闇の中で「小さな灯」に気づくヒント だから、あなたも幸せになれる』(大和出版)の一部を再編集したものです。
『暗闇の中で「小さな灯」に気づくヒント だから、あなたも幸せになれる』(著:小澤竹俊/大和出版)
仕事・健康面・プライベート等の苦難、苦境、苦労etc.
「なぜ私だけが?」と思った時、ぜひ本書を手に取ってください。
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私は多くの患者さんとの出会いから、今がたとえ絶望の暗闇の中にいたとしても、それぞれの「幸せ」を見つけることは不可能ではないと確信しました。