身近なところから自分で決める訓練を
いろいろな人の生き方、死に方を見て感じるのは、「死に方を選ぶことは、生き方を選ぶことにつながる」ということです。
でも日本人は、「自己決定」があまり得意ではありません。同調圧力が強いので、ついまわりの顔色を窺ったり空気を読んだりしがちです。でも自分の最期くらいは、自分で決めたいもの。
そのためにも、その少し前、60歳くらいから、あえてちょっとヤンチャになるなどして、好きなことをする修業をしたほうがいい。自分で物事を選択する習慣をつけることをお勧めします。
まずは、身近なところから始めてはどうでしょう。たとえば友人と映画に行く時、友人の好みに引っ張られて見る映画を決めていたりしませんか。その後のランチのお店も友人まかせになってしまったりする。たまには一人で映画に行き、行ってみたかったお店でランチを食べるなど、一人で決めたらいいと思うのです。僕はこれを「ソロ立ち」と呼んでいます。
夫婦で旅行に行っても、四六時中一緒にいる必要はありません。たとえば午前中はそれぞれ好きな場所で好きなことをして、ランチで集合して午前中何をしたかを報告し合う。
そうやって小さなことから自己決定の訓練をしていくと、最期の「命」に関する大事なところも、自分で決められるようになるはずです。どんな葬儀にしたいか考えて、まわりにも伝えておく。葬儀の会葬御礼まで用意できたら、ソロ立ちの免許皆伝です。(笑)
最後までよりよく生きるためには、筋力とソロ立ちできる自己決定力の二刀流が大事。そして、やりたいことをやって、ちょうどいいわがままを実践する。「後悔を棺桶に持ち込まない」という発想で生きるのが、最善の策だと思います。