太陽に勇気づけられる私たち
命のエネルギー源である太陽は、46億年前に輝き始めました。
燃料は、もって生まれた水素です。
「核融合」という方法でばく大なエネルギーを今も生み出し続けています。
第3惑星である地球は、太陽のエネルギーがほどよく届くところでコマのように自転しながら、太陽側を向く昼と反対側の夜とをつくっています。
私たちは地球の表面にひっつくように暮らしていて、その昼と夜の世界を命の続くかぎり通り抜けます。
今日あなたを照らす太陽は、あなたのおじいちゃんやおばあちゃんを照らしていた太陽と同じ太陽です。
ゆるぎない法則で世界中を等しく照らしながら、太陽は明日も、来年も、10年後も、あなたや私がいなくなり、若者やその孫の世代もいなくなる遠い未来の世界でも、変わらず地上を照らしているでしょう。
そうして、いつの日か太陽が輝くのをやめるか、地球が自転をやめるその瞬間まで、地上の昼と夜は続いていきます。
地球の上でどんなことが起きた日も、必ず昇っては沈んでいく太陽。
そのことが大きな勇気をくれることもあれば、切ない気持ちにさせることもあるのでしょう。
でも、その一回転こそが、あなたがせいいっぱい生きる今日という日です。
人がきらめく朝日に手を合わせ、赤く沈む夕日に勇気づけられるのは、私たちは本当はそれで十分なのだということを、心のどこかで知っているからかもしれません。
※1 太陽は、絶対に直接見ないようにしましょう。黒い下じきやサングラスも危険です。専用のグラスやピンホールなど、太陽の観察方法は科学館や国立天文台などのホームページでも紹介されていますので、ぜひ参考にしてください。
※2 ここで紹介したのは何十億年も先の計算上の話で、実際にはその前に太陽の寿命がきてしまいます。
※本稿は、『夜、寝る前に読みたい宇宙の話』(草思社)の一部を再編集したものです。
『夜、寝る前に読みたい宇宙の話』(著:野田祥代/草思社)
本書は、宇宙の生い立ちや星の一生、宇宙の構造といった科学的事実をやさしくひもときながら、人間の存在を宇宙のスケールで見つめ直す視点を提供する。
人間の存在は小さい。だが、その小ささにこそきっと意味がある。
宇宙を知ることは、私たち自身を知ること、その扉を開く一冊。




