快適な日常生活や社会生活を送るために
とはいえ、健康寿命を延ばすのは実は並大抵な問題ではありません。私たちが社会生活を送るうえで、一番困ってしまうことは何かと考えてみると、自分自身のからだを思うところに移動させられないこと。
いわゆるロコモティブシンドローム(運動器症候群:通称ロコモ)【加齢に伴う運動器の障害や筋力の衰えによって、歩行困難など要介護になるリスクが高まる状態】に陥ってしまうことです。
このロコモに至る要因にはさまざまありますが、基本的にはからだを動かすために最も必要となる筋肉をはじめ、骨、関節、腱、あるいは筋肉を動かす神経系などの機能低下によるものです。
つまり、快適な日常生活や社会生活を送るためには、活動のために必要な運動器の機能を普段からしっかり維持・増強しておくことが求められます。
とくに、筋肉が発揮する筋力は、あらゆる身体運動の動力源になりますので、日常生活動作を安定して行える筋力を維持しておくことが重要です。
こうした筋力のことを、この記事では「生活筋力」と呼ぶことにします。
また、ロコモを一要素とする、より広い概念として、“フレイル”という言葉が注目されつつあります。
フレイルとは、まだ要介護ではないけれども、元気で健康な状態から寝たきり、要介護に至る過渡期の状態のことをいいます。