富山県に暮らす佐伯克美さんは、〈雪原のマラソン〉とも評される過酷なスポーツの現役選手。90歳で大会に出場し、ギネス世界記録に認定されました。実は、競技を始めたのは定年後。今年も「雪が降るのが待ち遠しい」と意欲的です。(構成:樋田敦子 撮影:本社・武田裕介)
体力が衰えるなら技術を磨けばいい
クロスカントリースキー(以下、クロカン)を始めて以来、多くの人と出会い、好きなことを続けていればいいことがあるんだ、と実感しています。60歳からクロカンを始めた私を指導してくださったコーチたちとは一緒に海外遠征をしましたし、小学4年生の選手とは、年の離れた親友になりました。
競技を続けてきたことで、日本冬季マスターズスポーツ協会の方が私を見つけてくださり、ギネス記録を申請してくださったというご縁も。87歳、88歳、90歳と3回、認定されました。広い世界のなかで、私が最高齢のクロカンスキーヤーだなんて本当にびっくりです。
元気にスポーツができているとはいえ、80歳、90歳を迎えたときには年齢の壁、体力の衰えを感じました。でもクロカンはね、奥が深いんです。まだまだ技術を磨いていけば、記録は伸びるはず、と信じています。
雪の降らないオフシーズンは、月曜日から金曜日まで、「スコール・フレイル予防センター」というスポーツクラブに通う日々。1階には内科や整形外科などのクリニックが入り、上階にはマシンやレッスン室が揃う施設です。