年を取っても頭がシャキッとしている人(写真はイメージ/写真提供:Photo AC)

 

情報伝達の最上位中枢器官で、全身の機能を統合・制御する司令塔<脳>。脳の部位は一度衰えるとなかなか回復しない反面、実はバックアップ機能を備えているそうで「元気な神経細胞によって、落ちた記憶力をカバーすることができる」と話すのが、老年病と認知症の専門医・遠藤英俊先生です。今回その遠藤先生の著書『こうして脳は老いていく』より、何歳からでも遅くない脳がよみがえる方法を紹介します。

脳の偏りが起きても老化の症状が現れない人たちがいる

脳の偏りに気づいたら終わりではなく、楽しい老後にするための準備を始めましょう。具体的に何をするといいのでしょうか?

人は年を取ると、多かれ少なかれすべての人に脳の偏りが起きます。年を取っても、まったく脳が衰えないという訳にはいかないのだから、当然ですよね。

しかし、あなたの周囲にも、年を取っても頭がシャキッとして、言葉も明瞭で、動作もそこまで遅くならずに、「なんであの人、高齢なのにあんなに元気なの?」という人がいるのではないでしょうか。

そうです。世の中には年を取っても老化の症状があまり現れない人がいます。現れたとしても、ちょっと「若い頃より記憶力が落ちたかな」という程度。脳の偏りははたしかに起きているはずなのに、「なぜ?」と思いますよね。

その謎を解明するヒントとなる研究が、1986年からアメリカで行われた「ナン・スタディ」という高齢期の脳と認知機能に関する大規模な縦断的疫学研究です。

この研究は、後に研究者でもあったデヴィッド・スノウドン博士によって『100歳の美しい脳 アルツハイマー病解明に手をさしのべた修道女たち』(ディーエイチシー)にまとめられ、世界の人に広く知られることになります。