予備脳は90歳でも強化できる
脳をたくさん使ってきた人のほうが強力な予備脳を備えていることになります。つまり、予備脳が強いかどうかは、後天的な要素が大きいということです。
ここで気になるのは、予備脳強化は何歳まで可能なのか?
「私は、若い頃そんなに脳を使っていなかったから『脳の貯金』が少ないかも」「きっと予備脳が働かない、もうダメだ」と思う人もいるかもしれませんが、おそらく何歳になっても予備脳は強化できます。
筋肉は90歳を過ぎても鍛えると強くなるといわれますが、予備脳も同じです。90歳からでも鍛えると強くなります。
なぜなら、脳には「可塑性」という特性があるからです。
脳の可塑性とは、新しい経験や学習、環境の変化に適応して、構造や機能を変化させる、脳に備わっている素晴らしい能力のことです。
例えば、外国語を学んだり、ピアノを練習したりなど、それまで経験したことがないことに挑戦すると、脳はそれに合わせて新しい神経回路をつくります。
そして、くり返し使うことでその回路はどんどん太く、しっかりしたものになります。この変化は粘土をこねて自由に形を変えるような柔軟さで、脳が自らアップデートしていくのです。
あなたは、けがで手が使えなくなって足で絵を描く人を見たことがありますか?これを可能にするのも脳の可塑性。脳の一部が損傷しても、それを補うための神経回路がつくられるからです。