舞台と映像は感動の作り方が違う

――花總さんは大河ドラマ『べらぼう』(NHK)や『キャスター』(TBS)など、テレビドラマでの活躍も増えています。舞台と映像の違いは感じられますか。

舞台は上演の時だけでなく、その前段階から大勢の人が集まって、カンパニーとして1つの作品をみんなで作っていきます。テレビドラマは、それぞれの役者さんが、1シーン1シーンを演じ、それらを後でつなぐことで作品になっていく。「え、こんな短い撮影でいいの?」と戸惑うこともあったのですが、オンエアを見るとちゃんとつながって、物語になっている。

舞台は、あんなに長い時間をかけないとできないのに、映像はその瞬間、その瞬間で、どんどん進んでいく。感動を作っていることは同じですが、その作り方が全然違うんですね。

ただ、私はやっぱり舞台で育ってきた人間ですので、カンパニーが団結していく感じとか、生ものとして観客の方も一緒になって舞台を作っていく感じが好きですね。舞台に出ていると、ああ、ここが私のホームなんだ、と安心します。

――演じられていて、観客がノっているということは、分かるものなのでしょうか。

正直にいうと、分からないんです(笑)。客席が異様にシーンとなっている日もあれば、開演前からなぜか賑やかな日もあって。賑やかすぎるのは困るのですが、あまりに静まり返っているのも怖い。ただ、役に入り込んでいると、そういうこともわからなくなって、後から「どうだったんだろう?」となる。今でも私は自信というものがなくて、ああ、ダメだ、と思うことはしょっちゅうあります。

花總まり
役に入り込んでいると観客がノっているか分からずあとから「どうだったんだろう?」となり、ああ、ダメだと思うこともしょっちゅうあります。