作品に込めたメッセージ

作品には、今の世の中の“混沌”を切りだしたい、と思いました。そのうえで、ドラマ中に明確な答えを出すのではなく、聴いた方それぞれに想像してもらうことに価値がある。そう考えました。

人が生きていく上で生じがちな衝突、またはなかなか平和が守られない世界の現状について、「音だけで想像する」という時間が意味のあるものになってくれたらいいな、と。

ただ、作品そのものについて、まだ完全に客観視できてはいません。というのも、聴くたびに「ここをこう直せるかな」「この可能性もあるかな」と考えてしまって(笑)。

音だけの作品にはゴールがいくらでもあるし、違うパターンも聞きたくなってしまう。ドアの音ひとつとっても、近くだとどんなふうに聞こえるんだろうか、音の加工を変えたらどんな部屋になるかな、などなど。可能性が無限にあるんです。

なお、演出サイドに立つことと、役者として演じることは、完全に切り離して考えています。役者としては、台本をもらった後、あくまで1人で準備をして現場に向かいますが、今回の場合、台本を書く段階からスタッフやキャストの皆さんと共有することに。

「与えられた尺に合わせて作る」というのも、初めての経験でした。