あっぱれやったな、蔦重

あらためて考えてみると、まず彼の人生が思っていたより、山あり谷ありだったなあ…というところがあって。

今は本当に蔦重大変やったな、おつかれさん、って心から思っています。最初は「ただの本屋のおっちゃんが畳の上で死ぬ話」とか言ってしまってごめん(笑)。蔦重の大変さ、最初の時点で私まったく分かってなかったねって。

(『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』/(c)NHK)

実際に書き終えた感想として、めちゃくちゃ大変な人生になったと思っています。なかでも蔦重にとって一番つらかったのは、やはり歌麿に去られたところじゃないですかね? 

ただでさえ蔦重の身にいろいろあったあと“ダメ押し”のようになってしまって…。

それだけに歌麿が戻ってきてくれて本当によかったなあ、と思いながら、最終回を書いていました。

蔦重は多くの功績を残した人だと思うんです。黄表紙もそうだし、日記絵もそう。流通網のようなものを整えて、本を江戸から地方の方に広めていったのも、彼と言われています。

そういう意味では「笑い」を世の中に届けてくれた人だったんじゃないですかね。そして、それって実は大事なことというか、とても尊いことだったんじゃないかな?

「笑い」ってどうしても不謹慎な部分がある。実際、今も「笑う」のがしんどい世の中になっていると思うんですよ。本当は面白いと感じていても、「笑っちゃいけないんじゃないか」と気持ちに蓋をする場面がたくさんある。

そんな時代にあって、財産を召し上げられ、仲間が死んでも、ふざけきった蔦重の人生を描かせていただきました。

あらためて「あっぱれやったな、蔦重!」と思っています。

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大河ドラマべらぼう~蔦重栄華乃夢噺~

【NHK公式サイトより】
大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築き時にお上に目を付けられても面白さを追求し続けた人物〈蔦重〉こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯。笑いと涙と謎に満ちた〈痛快〉エンターテインメントドラマ!

【キャスト】
横浜流星/安田顕/小芝風花/岡山天音/寛一郎/市原隼人/片岡愛之助/高橋克実/里見浩太朗/渡辺謙 

【作】
森下佳子

【放送予定】
[総合]日曜 午後8時00分 / 再放送 翌週土曜 午後1時05分
[BS・BSP4K]日曜 午後6時00分
[BSP4K]日曜 午後0時15分/ (再放送)日曜 午後6時00分