「勘三郎さんに褒められたい」
――作品の魅力について。
この作品はワンシーンが短く、ものすごいスピードで展開します。一つ一つの場面にかける出演者のエネルギーを見てほしいです。観客のみなさんに愛を分け与えて、劇場で見ている人が天からバラの花がいっぱい降ってくるような気持ちになってもらえたらうれしいです。
――ピアフの自伝を中村勘三郎さんから渡されたことが、大竹さんとピアフの出会い。ピアフが大竹さんの代表作になって、天国の勘三郎さんも嫉妬しているのでは。
12月5日が勘三郎さんの命日で、自宅に行きました。役者仲間もたくさん集まって「彼と芝居の話がしたいね」と話をしました。勘三郎さんは「今回の芝居、あんまり良くないね」とか正直に感想を言ってくれる人だったので「彼に褒められたいな」という思いはこの15年変わらず、その気持ちで舞台に立っています。
ピアフに最初に出会ったのは、二十歳の時。勘三郎さんが貸してくれた『愛の讃歌』というピアフの自伝を読んで、こんな壮絶な人生を歩んだ人だったんだと思って。
でも後日談がありまして、私もこのことを何回も話していたら、泉ピン子さんに「しのぶ、あれは私が哲明さん(勘三郎さんの本名)に貸してあげたものだから、返してよ」って言われました。
でももう30年くらい前のことだから、どっかに行っちゃって……。どうしようっていうのでちょっと今ドキドキしています。(笑)
