完璧を求めず、ほどよき人生を
食事、運動と同じぐらい大事なのが睡眠ですが、年とともに自然と眠りは浅くなるものですから、寝つきの悪さはあまり気にしないほうがいいですね。
患者さんの中には夜中のトイレが近いと嘆く方も多いのですが、これもある程度は仕方ありません。私は比較的ぐっすり眠りますけれど、それでも1回は必ず起きますから。
睡眠に限らず、加齢による変化や衰えにあまり神経質にならないことも大切じゃないかしら。だって、若いときと同じようにはいきませんから。元気が取り柄の私も膝痛で正座ができなくなって、趣味の茶道をあきらめました。残念ですが、お稽古代が浮いてラッキーと思うようにしています。(笑)
「一病息災」という言葉がありますよね。1つくらい病気があったほうが、からだをいたわって長生きできるという意味ですが、私は「年をとれば一病ぐらいあるのが自然。そのままの自分を受け入れよう」という意味にも捉えています。
心の悩みも同じこと。雲ひとつない快晴の気分で過ごしている人なんて、この世のどこを探しても存在しません。生きていれば、悩みの1つや2つあって当然。そもそも「悩む」って、そんなに悪いことでしょうか。
これまで数え切れないほどの患者さんにお話をうかがってきましたが、どの方の悩みも尊いものでした。だって、人生をあきらめず、懸命に生きているからこそ悩みは生まれるのですから。